テレスコープシステムによる入れ歯の維持、支持

「せっかく作った入れ歯がすぐ外れてしまう。」というお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

入れ歯を安定させるには、一般の方はあまり聞き慣れないかと思うのですが、

① 入れ歯が外れないようにするための「維持力」
② 咬む際に発生する力をどのように歯と粘膜に負担させるかの「支持力」

のふたつが重要になります。

世間には多くの種類の入れ歯がありますが、今回は当院でおすすめしている3種類のテレスコープシステムについて、維持力、支持力の観点からご紹介します。

①テレスコープシステムの「維持力」

まず、「維持力」とは、入れ歯が外れないようにするために必要になる力です。
当院でおすすめしている各テレスコープシステム、

・コーヌステレスコープ
・リーゲルテレスコープ
・レジリエンツテレスコープ

について、維持力の観点からご紹介します。

コーヌステレスコープ

■コーヌステレスコープが適用される歯の状態
 -歯の神経の有無:歯の神経があり健康なもの
 -残っている歯の本数:片方の顎につき3歯以上の本数

■維持の方法
円錐と円錐を重ねる最後に発生するときの維持力

コーヌステレスコープでは、歯の神経がある場合に、円錐を重ねる時のくさびの維持力を使って維持をします。※紙コップなどをふたつ重ねると取れにくくなる感覚です
装着時の最後に2つの円錐が接する また、着脱時の最初だけ接していのるので歯にかかる負担は最小で済みます。

コーヌステレスコープの維持力

■コーヌステレスコープを動画でご紹介

1980年代に日本国内でコーヌステレスコープでの治療が増えた際には、歯の神経がないにも関わらず、コーヌステレスコープでの治療を選択してしまったがための失敗事例が散見されました。

歯の神経がない場合は、次にご紹介するリーゲルテレスコープを適用します。
コーヌステレスコープでの治療を行うと、歯の神経がない場合、歯の方がだめになってしまいます。

⇒コーヌステレスコープの詳細はこちら

リーゲルテレスコープ

■リーゲルテレスコープが適用される歯の状態
 -歯の神経の有無:歯の神経がなくてもできる
 -残っている歯の本数:3本以上なら本数は関係なし(何本でも可能)

■維持の方法
内冠と外冠を繋ぐ鍵の維持力

歯の神経がない場合も適用できるのが、リーゲルテレスコープです。
内冠と外冠を繋ぐ鍵が維持力となり、これを閂装置といいます。この鍵を外すと維持力がなくなり歯に全く負担なく入れ歯がはずせます。

■リーゲルテレスコープを動画でご紹介

歯の神経がない方は歯がもろくなっているため、歯の根への負担を減らすという点でもよい治療方法です。

※公共施設の扉で、横にスライドして鍵を掛けるカンヌキ装置のイメージ

リーゲルテレスコープの維持力

⇒リーゲルテレスコープの詳細はこちら

レジリエンツテレスコープ

■レジリエンツテレスコープが適用される歯の状態
 -歯の神経の有無:歯の神経がないとき
 -残っている歯の本数:残っている歯が3本以内のとき

■維持の方法
歯槽骨を全部を覆って陰圧にし、ウォーターフィルム現象(ガラスとガラスの間に水を介在させて、ピタリと吸着させる現象)を使って維持する

残っている歯の本数が少ない場合、レジリエンツテレスコープの適用となります。
歯槽骨を入れ歯で覆って、陰圧にし、唾液を利用して入れ歯を維持する場合、残っている少数の歯に負担がかかりにくい形になります。
(歯が多く残っている場合は、歯槽骨の凹凸が大きく覆うことができないため、レジリエンツテレスコープの適用ができません)

■レジリエンツテレスコープを動画でご紹介

※吸盤の原理のイメージ

レジリエンツテレスコープの維持力

⇒レジリエンツテレスコープの詳細はこちら

小コラム:歯の神経を抜いてしまうと・・・

虫歯の治療などで歯の神経を抜くと、痛みを感じることはなくなりますが、その一方で起こる弊害があります。

神経がない場合、歯への栄養供給がなくなり、水を与えられない枯れ木のようになってしまい、だんだん歯がもろくなってしまいます。歯がもろくなると当然、支える力も弱くなります。

また、神経は痛みから脳に虫歯の程度を伝えるので、歯の異常を教えてくれたりしますが、その機能もなくなってしまうのです。

歯の神経を抜くときは、上記のようなデメリットも考慮した上で決断されることをおすすめします。

テレスコープシステムの「支持力」

テレスコープシステムで入れ歯を作る場合、咬み合わせの力を負担し、支えるための「支持力」も考慮して、製作を進めます。

咬み合わせの力を負担する支持力には、3種類の支持様式があり、

A.歯のない歯周組織に力を分散させる「粘膜負担」
B.残っている歯の根に力を分散させる「歯根膜負担」
C.歯根膜負担と粘膜負担の両方を使う「混合負担」

の3パターンがあります。

コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープは、残っている歯の根に力を分散させるのB.の歯根膜負担 または、歯と粘膜の双方で力を分散させるC.の混合負担、を設計時に選択します。レジリエンツテレスコープは、残っている歯が少ないため、歯には負担をかけずに、粘膜で負担をするA.の粘膜負担となります。

まとめ

テレスコープシステムは、維持力と支持力それぞれを、患者様の歯の本数や神経の有無、咬み合わせの状態を診査・診断した上で、双方の力のバランスがうまく取れる方式で治療を進めます。

そのため、まずは咬み合わせ診査・診断を行った上で、治療方法を決定し、治療を進めてまいります。

治療方法は患者様によってそれぞれ異なるオーダーメイド型になりますので、テレスコープシステムでの治療にご興味を持たれた方は、まず一度お気軽にご相談頂ければと思います。

⇒上記のような内容について、歯科医師向けのセミナーで講師をしています

千葉県松戸市 ひかり・歯科クリニック

投稿日:2016年4月22日|カテゴリ:院長ブログ